Avoided Emissions

### 概要 回避された排出量（Avoided Emissions）とは、ある特定の製品、サービス、技術などが導入・利用された結果として、社会全体で見た場合に、それらが存在しなかった場合（ベースラインシナリオ）と比較して、温室効果ガス（GHG）の排出がどれだけ削減されたか、あるいは発生が回避されたかを示す量です。「排出回避貢献量」などとも呼ばれます。 ### 考え方 これは、自社の直接・間接排出量（Scope 1, 2, 3）とは異なる概念です。自社の排出削減だけでなく、自社の製品やサービスが**他者や社会全体の排出量削減にどれだけ貢献したか**を評価しようとするものです。 ### 算定対象例 - **省エネルギー製品:** 高効率製品導入による使用段階でのエネルギー消費量削減効果。 - **再生可能エネルギー:** 再エネ導入による化石燃料発電の代替効果。 - **軽量素材:** 自動車部品等への利用による燃費向上効果。 - **リサイクル:** 新規資源採掘・精錬エネルギーの削減効果。 - **デジタル化:** 紙使用量削減や移動代替効果。 ### 算定の難しさと課題 - **ベースライン設定:** 「もしなかった場合」の排出量の想定が難しいです。 - **境界設定:** どこまでの影響範囲を考慮するかが課題です。 - **二重計上リスク:** 異なる主体が同じ削減効果を主張する可能性があります。 - **標準化:** 算定方法の国際的な標準化はまだ途上です。 回避された排出量の考え方は、企業の環境貢献度をより広く評価するアプローチとして注目されていますが、算定とコミュニケーションには透明性と客観性が求められます。