Cash Commodity

### 概要 Cash Commodityとは、先物やデリバティブの取引対象となる**実際に存在する物理的な商品そのもの**を指します。英語では「physical commodity」や「spot commodity」とも呼ばれ、将来の契約（先物）に対して、現在の市場で受け渡しが可能な現物を意味します。 ### 種類と分類 Cash Commodityは、以下の2つに大別されることがあります。 - ソフトコモディティ（Soft Commodities）：農作物など生産や収穫に季節性があるもの 例：小麦、トウモロコシ、大豆、コーヒー、綿花など - ハードコモディティ（Hard Commodities）：地下資源や金属など、採掘によって得られるもの 例：原油、天然ガス、金、銅、アルミニウムなど いずれも、商品市場で現物として取引される対象であり、先物取引ではこれらの価格変動を対象に売買が行われます。 ### 背景と意味 先物取引は将来の受け渡しを前提にした契約ですが、その根底には「いつか現物を受け渡すことができる」という前提があります。この裏付けとなる商品がCash Commodityです。 現物は現時点で存在しており、物流・保管・品質管理などの実務を伴って売買されます。 ### 利用される場面 - 農産品の仕入れや工業原料の現物購入 - 商社や生産者による在庫管理と価格ヘッジ - 先物契約を満期まで保有したときの現物受渡し（Physical Delivery） たとえば、コーヒー豆を扱う業者が将来の価格変動に備えつつ、実際に倉庫で保管している商品がCash Commodityにあたります。 ### 注意点 - 同じ名称の商品でも、産地や品質により市場価格が異なる場合があります - 現物取引は、輸送コストや保管コスト、品質劣化のリスクも考慮する必要があります - 現物価格と先物価格には常に差があり、これをベーシスと呼びます