Cross Hedge

### 概要 クロスヘッジ（Cross Hedge）とは、リスクヘッジを行いたい対象資産（ヘッジ対象）と完全に同一の先物やオプションなどのヘッジ手段が存在しない場合に、その対象資産と価格変動の相関が高いと考えられる別の資産やデリバティブ契約を用いてヘッジを行う手法です。 ### なぜ必要か すべての資産に対して完璧に対応するヘッジ手段が存在するわけではありません。直接的なヘッジツールがない場合に、価格連動性の高い代替的な商品（例: ジェット燃料なら原油先物）を利用してリスク軽減を図るのがクロスヘッジです。 ### ヘッジ比率の計算 クロスヘッジを行う際には、ヘッジ対象資産とヘッジ手段の価格変動の関係（ボラティリティや相関）を考慮して、適切なヘッジ比率（どれだけの量のヘッジ手段を用いるか）を決定する必要があります。最小分散ヘッジ比率などが計算に用いられることがあります。 ### 残存するリスク（ベーシスリスク） クロスヘッジは、ヘッジ対象とヘッジ手段が完全に同一ではないため、両者の価格変動が完全に一致しないリスク、すなわち「ベーシスリスク」が残ります。ヘッジ効果が薄れたり、逆に損失が拡大したりする可能性もあります。 ### 利用場面 - 直接的なヘッジ手段が存在しない資産の価格変動リスク管理。 - より流動性が高くコストの低い代替手段でヘッジを行いたい場合。 クロスヘッジは実務上広く用いられますが、ベーシスリスクの存在を認識し、管理することが求められます。