Division of Costs

### 概要 費用負担の分岐点（Division of Costs）とは、国際貿易取引において発生する多岐にわたる費用について、売主と買主の間で、それぞれがどの費用項目を、どの地点（またはどのプロセス）まで負担するのかという分担ルール、およびその境界線を指します。インコタームズ規則の主要な機能の一つは、この費用分担を明確に定めることです。 ### インコタームズ規則による規定 各インコタームズ規則（2020年版ではA9/B9条項）には、売主負担費用と買主負担費用が具体的にリストアップされています。 - **主な費用項目:** 運送費（国内・国際）、保険料、輸出入通関費用、関税・諸税、積込み・荷降ろし費用、検査費用、書類発行費用など。 - **分岐点:** どの地点までの輸送費を売主が負担するか、どの時点以降の費用を買主が負担するかなどが、規則ごとに異なります。 ### 危険負担との関係 費用の負担分岐点と、危険負担の移転時点は、多くの規則（E規則、F規則、D規則）では一致しますが、**C規則（CFR, CIF, CPT, CIP）では一致しません**。C規則では、危険負担は輸出地で移転しますが、売主は仕向地（港）までの主たる運送費や保険料（CIF/CIPの場合）を負担します。この点はC規則を理解する上で注意が必要です。 ### 契約における明確化 インコタームズ規則で基本的な費用分担は決まりますが、規則だけでは不明確な費用項目については、売買契約書で別途詳細を取り決めておくことが、後のトラブルを避ける上で望ましいです。