Double Counting

### 概要 ダブルカウント（Double Counting、二重計上）とは、主に気候変動対策の文脈において、一つの温室効果ガス（GHG）排出削減量や吸収量、あるいはそれに基づくカーボンクレジットが、複数の主体（国、企業など）によって、それぞれの削減目標達成や実績として重複して主張・計上されてしまう問題を指します。 ### なぜ問題か？ ダブルカウントが発生すると、実際の削減量よりも多くが達成されたかのように見え、地球全体での真の排出削減量を過大評価してしまいます。これは、パリ協定などの国際目標達成への進捗を誤認させ、排出削減努力の実効性を損なう可能性があります。 ### 発生しうる場面 - **国別目標 (NDC) との重複:** プロジェクトによるクレジットを、プロジェクト実施国とクレジット購入国の両方が自国目標達成に計上する。 - **企業目標との重複:** 企業が購入したクレジットによるオフセット量を、発行元のプロジェクト実施国も自国目標達成に計上する。 - **異なる制度間での重複:** 同じ削減量が異なる制度下で重複してクレジット化される。 - **サプライチェーン内での重複:** Scope 3 算定などで、異なる企業が同じ削減量を計上する。 ### 防止策 パリ協定第6条などでは、国際的なクレジット移転におけるダブルカウント防止ルール（対応調整）の構築が進められています。ボランタリーカーボン市場でも、登録・償却システムや認証基準を通じて透明性確保と二重計上防止が進められています。 ダブルカウント防止は、カーボンクレジット市場や国際的な気候変動対策の信頼性を確保する上で不可欠です。