Heavy Crude

### 概要 重質原油（Heavy Crude）とは、原油の物理的な性質による分類の一つで、API度（米国石油協会が定めた比重の指標）が低く、相対的に比重が重く、粘度が高い原油を指します。API度が高い「軽質原油（Light Crude）」と対比されます。 ### 定義と基準 明確な国際基準はありませんが、一般的に**API度が22.3度未満**の原油が重質原油と分類されることが多いです。カナダのオイルサンド由来の原油やベネズエラ産原油などが代表例です。 ### 特徴と影響 - **重質留分の収率が高い:** 精製すると、アスファルトや残渣油（重油の原料）といった「重い」留分が多く得られ、ガソリンなどの軽質留分の収率は低くなります。 - **精製の困難さ:** 精製して価値の高い軽質製品を得るためには、分解装置などのより高度な精製設備と多くのエネルギーが必要となり、コストが高くなります。 - **価格差:** 上記の理由から、他の条件が同じであれば、重質原油は軽質原油よりも低い価格（ディスカウント）で取引されることが一般的です。 特にAPI度が10度未満のものは「超重質油（Extra Heavy Crude）」や「ビチューメン」と呼ばれます。