Minimum Variance Hedge

### 概要 最小分散ヘッジ（Minimum Variance Hedge）とは、ヘッジ取引を行う際に、ヘッジ後のポジション全体の価値の変動（損益のばらつき）の分散（Variance）を最小化することを目的として、ヘッジ手段（先物、オプションなど）の最適な保有量（ヘッジ比率）を決定する手法です。 ### 考え方 ヘッジ対象資産とヘッジ手段の価格変動は通常完全には逆相関しません。最小分散ヘッジでは、両者の価格変動の標準偏差と相関係数を考慮し、ヘッジ後のポートフォリオ全体の分散が最も小さくなるヘッジ比率（Minimum Variance Hedge Ratio, MVHR）を統計的に導き出します。 ### ヘッジ比率（MVHR） MVHR = ρ * (σ_S / σ_F) （ρ: 相関係数, σ_S: ヘッジ対象の標準偏差, σ_F: ヘッジ手段の標準偏差） この比率は、ヘッジ対象資産1単位に対してヘッジ手段を何単位持つべきかを示します。 ### 利用場面 - クロスヘッジを行う際に、ベーシスリスクを考慮して最適なヘッジ量を決定する場合。 - 先物やオプションを用いたヘッジで、より効果的にリスクを削減したい場合。 ### 注意点 - 計算には過去データに基づく標準偏差や相関係数の推定値を用いますが、これらが将来も安定しているとは限りません（パラメータリスク）。 - あくまで統計的な最適化であり、損失を完全に防ぐものではありません。 最小分散ヘッジは、統計的アプローチに基づいてヘッジ効果の最大化（リスクの最小化）を目指す手法です。