Minimum Volume Commitment

### 概要 Minimum Volume Commitmentとは、長期の売買契約や輸送契約などにおいて、買い手または売り手が一定期間内に取り扱うことを約束する「最低数量」のことです。「ミニマムコミット」「MVC」と略されることもあります。 たとえば、年間で最低でも100万トンの石炭を買うと約束する契約では、その数量がMinimum Volume Commitmentになります。 ### 使われる背景 大型設備の稼働やパイプライン輸送のように、一定の取扱量を前提にコストや収益を見込むビジネスでは、「実際にどれだけ使われるか」が非常に重要です。このため、供給者側は収益の安定を確保するために、相手方に最低の取引量をあらかじめ約束させるという形で契約を設計します。 商社やエネルギー企業、製造業者が、相手先との信頼関係や投資判断の前提として、このコミットメントを活用します。 ### 契約上の取り扱い - 約束した量に満たなかった場合は、不足分について違約金を支払うことが多い - 一部は翌年に繰り越せるなど、柔軟な条項が設定されることもある - サプライヤー側にとっては、投資回収や操業計画の前提となる重要条件 ### 実務での例 - 石油やガスのパイプライン契約で、年間の最低輸送量を設定 - 港湾の荷役契約で、一定トン数以上の荷下ろしを保証 - 長期の原料炭や鉱石契約で、買い手が最低購入量を約束 ### 注意点 - 価格条件とセットで考える必要がある（数量が少ない場合は価格が割高になることも） - 相手の事業が縮小した場合でも、最低数量を守る必要がある場合は、柔軟な見直しが困難になることもある - 長期契約では、途中で市場価格と乖離が大きくなるリスクにも注意が必要 ### 関連用語 - Take-or-Pay契約（一定量を取るか支払うかの契約） - 長期契約（Long-Term Contract） - 輸送コミットメント / キャパシティ予約 - 契約違反条項（Penalty Clause）