Naphtha

### 概要 ナフサ（Naphtha）は、原油の常圧蒸留によって得られる主要な石油留分の一つで、一般的に沸点範囲が約30℃から200℃程度の軽質な炭化水素混合物です。「粗製ガソリン」や「軽質ナフサ」「重質ナフサ」などと呼ばれることもあります。 ### 主な用途 ナフサの最も重要な用途は、**石油化学工業における基礎原料**です。 - **エチレンプラント原料:** ナフサを熱分解し、エチレン、プロピレン、BTXなどの基礎化学製品を製造します。これらはプラスチック、合成繊維、合成ゴムなどの原料となります。 - **ガソリン基材:** 改質プロセスを経て、ガソリンの混合基材としても利用されます。 - **溶剤・燃料:** 一部の工業用溶剤や特殊な燃料としても利用されます。 ### 市場と価格 ナフサ価格は、原油価格に加え、石油化学製品の需要（景気動向）、ガソリン需要、アジアの需給バランス、代替原料（LPGなど）の価格などの影響を受けます。アジア市場では日本の輸入価格（MOFJ）が重要な指標（ベンチマーク）となっています。 ナフサは、現代社会を支える多くの化学製品の出発点となる基幹的なエネルギー・化学原料です。