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コモディティ取引用語辞典トレタム

コモディティ取引に関する専門用語を学べる総合用語集

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    Natural Gas

    天然ガス

    天然ガス・ガス製品

    メタンを主成分とする気体の化石燃料。クリーンな燃焼特性を持ち、発電、暖房、工業用原料として幅広く利用される。

    天然ガス(Natural Gas)は、メタン(CH4)を主成分とする可燃性の気体化石燃料で、石油や石炭と比較して燃焼時のCO2排出量が少ないことから、「移行期のエネルギー」として重要性が高まっています。

    天然ガスの組成:

    • メタン(CH4): 70-90%
    • エタン(C2H6): 0-20%
    • プロパン(C3H8): 0-8%
    • ブタン(C4H10): 0-2%
    • 二酸化炭素(CO2): 0-8%
    • 窒素(N2): 0-5%
    • 硫化水素(H2S): 0-5%

    天然ガスの分類:

    1. 生成起源による分類

    • 随伴ガス: 原油と共に産出
    • 非随伴ガス: ガス単独で産出
    • シェールガス: 頁岩層から産出
    • コールベッドメタン: 石炭層から産出
    • タイトガス: 緻密な砂岩層から産出

    2. 組成による分類

    • ドライガス: メタン含有量95%以上
    • ウェットガス: エタン、プロパン等を含む
    • サワーガス: 硫化水素を含む
    • スイートガス: 硫化水素を含まない

    供給形態:

    1. パイプライン輸送

    • 陸上- 海底パイプライン網
    • 圧力:40-80気圧
    • 主要ルート:ロシア→欧州、カナダ→米国

    2. LNG(液化天然ガス)

    • -162°Cで液化、体積が1/600に
    • LNGタンカーで海上輸送
    • 受入基地で再ガス化

    3. CNG(圧縮天然ガス)

    • 200-250気圧で圧縮
    • 中短距離輸送、車両燃料用

    主要市場と価格指標:

    北米市場

    • ヘンリーハブ(Henry Hub)価格
    • シェール革命により供給過剰傾向
    • 価格:$2-4/MMBtu(近年)

    欧州市場

    • TTF(Title Transfer Facility)価格
    • ロシア依存度の低下を目指す
    • 価格:$8-15/MMBtu(変動大)

    アジア市場

    • JKM(Japan Korea Marker)価格
    • LNG輸入が中心
    • 価格:$10-20/MMBtu(季節変動大)

    世界の天然ガス市場:

    主要生産国(2023年)

    1. アメリカ:約1兆立方メートル
    2. ロシア:約0.65兆立方メートル
    3. イラン:約0.25兆立方メートル
    4. 中国:約0.22兆立方メートル
    5. カタール:約0.18兆立方メートル

    確認埋蔵量
    世界の確認埋蔵量は約200兆立方メートルで、現在の生産ペースで約50年分。

    天然ガスの利点と課題:

    利点

    • CO2排出量が石炭の約半分
    • 硫黄酸化物、窒素酸化物の排出が少ない
    • 発電効率が高い(コンバインドサイクル)
    • 供給の柔軟性(出力調整が容易)

    課題

    • メタンリーク(温室効果が高い)
    • インフラ投資が巨額
    • 地政学的リスク
    • 価格の地域差が大きい

    天然ガスは、再生可能エネルギーの変動性を補完する調整電源として、また水素製造の原料として、エネルギー転換期において重要な役割を果たすと期待されています。

    関連用語
    NBP (National Balancing Point)

    NBP

    英国の天然ガス取引の中心となる仮想取引拠点で、1996年に設立された欧州で最も歴史ある市場の一つです。北海ガス田からの供給とLNG輸入の両方を扱い、英国のガス価格を決定する重要な役割を果たしています。欧州大陸のTTFと並んで、国際的な天然ガス価格の重要な指標として世界中で参照されています。

    Liquefied Natural Gas (LNG)

    LNG(液化天然ガス)

    天然ガスをマイナス162度まで冷却して液体にしたもので、体積が600分の1になるため船での大量輸送が可能になります。日本は世界最大のLNG輸入国として、中東やオーストラリアから年間約7000万トンを調達しています。パイプラインがない地域でも天然ガスを利用できる画期的な技術として、世界のエネルギー貿易を大きく変えました。

    Wet Gas

    湿性ガス

    天然ガスの中でもプロパンやブタンなどの液化しやすい成分を豊富に含んでいるガスのことです。これらの成分は冷却や圧縮によって分離され、LPGや石油化学原料として高値で取引されるため、ガス田の収益性を大きく向上させます。近年のシェール革命により、ウェットガスの生産が急増し、世界のエネルギー市場に大きな影響を与えています。

    Dry Gas

    乾性ガス

    天然ガスの中でもメタンが90%以上を占め、液体になりやすい成分がほとんど含まれていないガスのことです。そのままパイプラインで輸送でき、都市ガスや発電の燃料として直接使えるため、最も扱いやすい天然ガスといえます。処理コストが低く経済性に優れていることから、世界中で広く利用されています。

    Pipeline Gas

    パイプラインガス

    パイプラインを通じて気体のまま輸送される天然ガスで、世界のガス貿易の約7割を占める最も基本的な輸送方法です。ロシアから欧州、カナダから米国など、陸続きの地域では直径1メートル以上の巨大パイプラインが何千キロも延びています。LNGと違って液化設備が不要なため、安定的で低コストな供給が可能です。

    Henry Hub

    ヘンリーハブ

    アメリカのルイジアナ州にある天然ガスパイプラインの集積地で、北米の天然ガス価格を決める最も重要な指標です。ここで形成される価格はNYMEX先物の基準となり、世界中のLNG取引でも参照されています。9本の州間パイプラインが交差し、日量20億立方フィートのガスが行き交う巨大なハブです。

    Compressed Natural Gas (CNG)

    CNG(圧縮天然ガス)

    天然ガスを200気圧程度まで圧縮して、専用容器に充填したものです。液化させずに気体のまま圧縮するため設備が簡単で、バスやトラックの燃料として世界中で使われています。ディーゼル車より排ガスがきれいで、都市部の大気汚染対策として多くの国が導入を進めています。