Project Finance

### 概要 プロジェクトファイナンス（Project Finance）は、特定の独立した大規模事業（プロジェクト）に対して行われる融資（ファイナンス）の一形態です。通常の企業向け融資（コーポレートファイナンス）が、融資を受ける企業全体の信用力や担保を返済の拠り所とするのに対し、プロジェクトファイナンスは、その**特定のプロジェクト自体が生み出す将来のキャッシュフロー（収益）を主な返済原資**とし、プロジェクトの資産のみを担保とする点に最大の特徴があります。 ### 特徴 - **返済原資の限定:** 返済原資がプロジェクト収益に限定されるため、事業主（スポンサー企業）本体の信用力から切り離されます（ノンリコースまたはリミテッドリコース）。 - **リスク分担:** プロジェクトに関わる様々なリスク（建設遅延、コスト超過、需要変動、操業問題、カントリーリスクなど）を、スポンサー、融資団、建設会社、プラント供給者、原料供給者、製品購入者、政府など、関係者間で契約によって適切に分担する仕組みが構築されます。 - **特別目的会社（SPC）:** 多くの場合、プロジェクトを遂行するためだけに設立された特別目的会社（Special Purpose Company, SPC）が事業主体となり、融資を受けます。 - **大規模・長期:** 発電所、石油・ガス開発、鉱山開発、交通インフラ（道路、鉄道、空港）、再生可能エネルギー施設など、初期投資が巨額で、資金回収に長期間を要するプロジェクトで多く採用されます。 ### 利用目的 - **巨額資金の調達:** 単一企業の信用力だけでは難しい大規模な資金調達を可能にします。 - **リスク分散:** スポンサー企業は、プロジェクトのリスクを自社のバランスシートから切り離すことができます（オフバランス化）。 - **多様な関係者の参画:** 複雑な契約関係を通じて、専門知識を持つ多様なプレイヤーの参加を促します。 プロジェクトファイナンスは、複雑な契約と高度なリスク分析を伴う専門的なファイナンス手法です。