Protective Put

### 概要 プロテクティブプット（Protective Put）とは、特定の原資産（株式、ETF、通貨、コモディティ先物など）のロングポジション（買い持ち）を保有している投資家が、その原資産価格の下落リスクに備えるために、同一の原資産に対するプットオプションを**購入する**というオプション戦略です。「保護プット」とも訳されます。 ### 戦略の構成と目的 - **原資産の保有:** まず、価格下落リスクをヘッジしたい対象資産を保有しています。 - **プットオプションの買い:** 保有資産に対して、アウト・オブ・ザ・マネー（OTM）またはアット・ザ・マネー（ATM）のプットオプションを購入します。 この戦略の主な目的は、保有資産の価格が下落した場合の**損失額を限定する**ことです。プットオプションは、権利行使価格以下に価格が下落した場合に価値を持つため、保有資産の下落損失をプットオプションの利益で相殺することができます。これは、自動車にかける車両保険のように、万が一の価格下落に対する「保険」として機能します。 ### 損益特性 - **損失限定:** 原資産価格がプットの権利行使価格をどれだけ下回っても、ポートフォリオ全体の最大損失額は「（原資産取得価格 - プット権利行使価格）＋ 支払ったプットプレミアム」に限定されます。 - **利益追求:** 原資産価格が上昇した場合、その利益を享受できます（ただし、プットプレミアムのコスト分だけ利益は減少します）。利益の上限はありません。 ### 利用場面 - 保有資産の長期的な上昇は期待しているが、短期的な下落リスクに備えたい場合。 - 利益が出ているポジションについて、利益を確保しつつ、さらなる上昇も期待したい場合。 - 特定のイベント（決算発表など）を前に、下落リスクをヘッジしたい場合。 ### 注意点 - プットオプションの購入にはプレミアム（コスト）がかかります。このコスト分、損益分岐点は上昇します。 - 満期までに価格が下落しなければ、支払ったプレミアムは全額損失となります。 - どの権利行使価格、どの満期のプットを選ぶかによって、ヘッジの効果とコストが変わります。 プロテクティブプットは、保有資産のダウンサイドリスクを管理するための基本的なヘッジ戦略の一つです。