Standard Deviation

### 概要 標準偏差（Standard Deviation, SD）は、統計学において、データセットや確率分布のばらつき（散らばり具合）の大きさを測定するための基本的な指標です。データがその平均値からどの程度離れて分布しているかを数値で示します。分散（Variance）の正の平方根として定義されます。 ### 計算と意味 標準偏差が大きいほどデータのばらつきが大きく、小さいほどデータが平均値周りに集中していることを意味します。 正規分布の場合、平均値±1σ、±2σ、±3σの範囲にデータ全体の約68.3%、95.4%、99.7%が含まれます。 ### 金融・取引分析での利用 ファイナンス分野では、主に資産リターンの**リスク（価格変動性、ボラティリティ）**を測定する指標として用いられます。 - **ボラティリティ指標:** 過去リターンから計算した標準偏差はヒストリカル・ボラティリティとなります。 - **リスク管理:** ポートフォリオのリスク量評価（VaR計算など）の基礎となります。 - **パフォーマンス評価:** シャープレシオなどリスク調整後リターンの計算にリスク尺度として用いられます。 - **テクニカル分析:** ボリンジャーバンドは標準偏差を用いてバンドを表示します。 ### 注意点 - 外れ値の影響を受けやすい性質があります。 - リターン分布が正規分布から大きく異なる場合、リスクを十分に捉えきれない可能性があります。 標準偏差は、データのばらつきや金融リスクを定量化するための基本的なツールです。