Synthetic Position

### 概要 シンセティックポジション（Synthetic Position）とは、オプションや先物などのデリバティブ商品を組み合わせることによって、特定の原資産や別のデリバティブ商品などを**直接保有（または売却）しているのと実質的に同じ損益特性（ペイオフ）を持つポジション**を、人工的（Synthetic）に作り出す取引戦略や、その結果として構築されたポジションのことを指します。「合成ポジション」とも訳されます。オプションのプット・コール・パリティなどの関係性を利用します。 ### 具体例 - **シンセティック・ロング・ストック:** 原資産買いの代わりに、「コール買い」＋「プット売り」（同一行使価格・満期）を組み合わせます。 - **シンセティック・ショート・ストック:** 原資産空売りの代わりに、「コール売り」＋「プット買い」を組み合わせます。 - **シンセティック・コール/プット:** 現物とプット（コール）を組み合わせてコール（プット）の買いポジションを再現するなど。 ### 主な目的と利用場面 - **コスト効率:** 現物取引よりデリバティブ取引の方がコスト効率が良い場合に利用されます。 - **市場アクセス:** 現物市場へのアクセスが制限されている場合や流動性が低い場合に、デリバティブ市場を利用します。 - **レバレッジ:** より少ない資金で現物と同等のエクスポージャーを持つために利用されます。 - **裁定取引（アービトラージ）:** 現物価格とシンセティックポジション構築コストの間に乖離がある場合に利用されます。 - **戦略の柔軟性:** 特定の戦略で直接的なポジションが組みにくい場合に代替します。 ### 注意点 - 各構成要素の取引コストが発生します。 - 配当や金利、権利行使タイミング等により、現物と完全に同一の損益になるとは限りません。 - ポジション管理が複雑になる場合があります。 シンセティックポジションは、デリバティブの価格関係を理解し、柔軟なポジション構築を可能にする手法です。