TNFD

### 概要 TNFD（Taskforce on Nature-related Financial Disclosures、自然関連財務情報開示タスクフォース）は、企業や金融機関が、自然資本（生物多様性、生態系、生態系サービス）への依存度や影響、及びそれに起因する事業上のリスクと機会を評価し、投資家などへ適切に情報開示するための枠組みを開発・提供する国際的なイニシアチブです。2021年に発足し、「TCFDの自然版」とも呼ばれます。 ### 目的と背景 生物多様性の損失や生態系の劣化が、企業活動の持続可能性に対するリスク（物理的リスク、移行リスク等）を高めているとの認識に基づき、これらの「自然関連リスク」を金融市場や企業経営の意思決定に組み込むための情報開示枠組みを提供することを目指しています。 ### 開示提言の枠組み 2023年9月に最終提言（v1.0）が公表されました。TCFDと同様に以下の4つの柱に基づいています。 1. **ガバナンス (Governance):** 自然関連の依存・影響・リスク・機会に関する組織のガバナンス体制。 2. **戦略 (Strategy):** 自然関連の依存・影響・リスク・機会が組織のビジネス、戦略、財務計画に及ぼす影響。 3. **リスクとインパクト管理 (Risk & Impact Management):** 自然関連の依存度、影響、リスク、機会を特定、評価、管理するプロセス。 4. **指標と目標 (Metrics and Targets):** 自然関連リスク・機会を評価・管理するための指標と目標、および実績値。 加えて、自然との接点を特定・評価するための「LEAPアプローチ」も提案しています。 ### 今後の展開 TNFD提言は任意ですが、今後、各国の規制当局や投資家コミュニティによって採用・推奨が進む可能性があります。