Active Risk

### 概要 Active Riskは、運用成績がベンチマーク（基準指数）と比べてどの程度異なっているかを定量的に示す指標です。アクティブ運用では、ベンチマークを上回る超過リターン（アルファ）を狙う一方で、その分リスクも増します。このズレ（リターンの差）の標準偏差がActive Riskであり、特に年率で表されるTracking Errorとほぼ同義として扱われます。目標に対してどれだけ振れてよいか、というガイドライン設定にも使われます。 ### 利用される場面・業務での使い方 - 資産運用会社がファンドの運用自由度を設定するときに - 年金基金や機関投資家がアクティブ運用の許容リスクを定義するときに - 商社のポートフォリオ管理で、市場価格と乖離したポジションの調整目安として ### 計算の考え方 Active Risk（Tracking Error）は、次のように計算されます。 > Active Risk = √(平均[(ポートフォリオリターン − ベンチマークリターン)^2]) 月次データを使えば「月次Active Risk」、それを年率換算すれば年次Active Riskになります。 ### コモディティ取引の事例 例えば、原油トレーディングデスクがBrent原油価格をベンチマークとしつつ、スプレッドや質の異なる原油を取引している場合、ポートフォリオの価格変動がBrentと乖離すればするほど、Active Riskは高くなります。この数値が高すぎる場合、リスクチームは運用部門にポジションの見直しを求めることもあります。 ### 注意点 - Active Riskが高いからといって悪い運用とは限りません。高リスク・高リターン戦略では自然なことです - Tracking Errorとの違いはありませんが、報告書ではActive Riskの方が使われる傾向があります - リスク制約が強すぎると、運用の自由度が低下し、アルファを生み出せなくなる可能性もあります