Backtesting

## 概要 バックテストとは、過去のデータを使って、ある取引戦略やルールがどのような結果を生んだかを検証する方法です。「もしこの方法で過去に取引していたら、どうなっていたか」を試すことで、その戦略が有効かどうかを判断するヒントになります。 ## 背景と目的 投資やトレーディングの戦略には、感覚だけではなくデータに基づいた検証が求められます。過去に似たような市場環境があった場合に、そのときに使ったら成果が出たかどうかを確認することで、将来の取引の参考にするのがバックテストの目的です。 ## 商社における利用シーン 商社のトレーディング部門では、次のような場面でバックテストが行われます。 | 活用場面 | 説明 | |----------------------------------------|------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------| | 価格変動に応じた取引ルールの検証 | 例：金属や原料炭の価格が一定幅動いたときに売買する戦略が有効だったかを調べる | | 為替ヘッジのタイミング評価 | 為替予約を早めに行うのと遅らせるのでは、どちらが結果的にコストが抑えられたかを比較する | | システム取引やアルゴリズム評価 | プログラムで自動売買した場合に、どれくらいの利益・損失が出たかをテストする | | 在庫調整戦略のシミュレーション | 倉庫にある商品の売却タイミングや積み増しが、全体の利益にどう影響したかを振り返る | ## 簡単な手順 バックテストは、おおまかに次のような流れで行われます。 1. 取引戦略を明確に定義する（買う・売るルール、タイミングなど） 2. 過去の価格データや為替レートなどを準備する 3. 戦略に従って取引をシミュレーションする 4. 損益・リスク・勝率などを計算して評価する ## 注意点・誤解されやすい点 過去の結果が良くても、未来にうまくいくとは限りません。市場環境が変われば同じ戦略は通用しないことがあります。 **過剰最適化（オーバーフィッティング）**にも注意が必要です。過去データにぴったり合うように調整しすぎると、実際の取引で機能しない戦略になることがあります。 コモディティ取引では、保管コスト・輸送費・為替変動なども含めたリアルな条件でのテストが大切です。