Bilateral Transaction

#### 概要 **Bilateral Transaction（相対取引）**とは、**売り手と買い手の2者間で直接行われる取引**のことです。取引所などの第三者を介さず、当事者同士の合意に基づいて価格や条件を決定します。 #### 背景・使われる理由 この取引形態は、**柔軟な条件設定が可能**であることから、標準化された市場価格では対応できないニーズに応える場面で活用されます。特に、商品内容、数量、納期、価格、支払方法などが取引ごとに異なる場合に適しています。 #### 商社・コモディティ取引における利用シーン 商社では、以下のような場面で相対取引が行われます。 - 原料炭や非鉄金属などの**長期契約** - 特定顧客向けの**オーダーメイド条件の売買** - 相場が急変する中での**迅速な価格決定** - **貿易条件（インコタームズ）や通貨建て**などに柔軟に対応する取引 特に、需給の変動が大きいコモディティでは、**その場その場での交渉力や判断力**が成果を左右します。 #### 取引所取引との違い（表） | 比較項目 | Bilateral Transaction（相対取引） | Exchange Transaction（取引所取引） | |------------------|----------------------------------|------------------------------------| | 価格の決まり方 | 当事者間の交渉 | 市場によって決定（板寄せなど） | | 標準化の程度 | 柔軟で多様 | 高く標準化されている | | 透明性 | 限定的 | 高い | | 取引条件の自由度 | 高い | 低い | | リスクの所在 | 相手方の信用リスクを直接負う | 清算機関を介してリスクが分散される | #### 注意点 - 相手方の**信用リスク**（支払い不能や履行遅延）を直接負うため、**相手の選定や契約条件の明確化**がとても大切です。 - 紛争時に備えた**契約書の整備**や、取引後の**記録管理**も欠かせません。 - 国際取引では、**法的な管轄や通貨リスク**も考慮する必要があります。 #### 類似用語との違い - 「Over-the-Counter（OTC）取引」も相対取引の一種ですが、主に**金融商品**において使われます。 - Bilateralは広義には「2者間」のあらゆる直接契約を指し、商社実務では売買契約全般にわたって登場します。