Cross Trade

### 概要 クロス取引（Cross Trade）とは、主に株式取引において、証券会社などのブローカーが、同一銘柄、同一価格、同一数量の「売り注文」と「買い注文」を、異なる顧客から（または同一顧客の別口座から）同時に受け付け、それらを取引所の立会市場（通常の売買場）を通さずに、立会外取引制度（ToSTNeTなど）や私設取引システム（PTS）などを利用して付け合わせ、約定させる取引手法です。「クロッシング（Crossing）」とも呼ばれます。 ### 目的と利用場面 - **大口取引の円滑な執行:** 大口注文を立会市場で執行すると価格への影響（マーケットインパクト）が大きくなる場合に、事前に相手方を見つけて価格を決定し、立会外で取引を成立させ、価格変動リスクを抑えます。主に機関投資家間で利用されます。 - **名義書き換えなど:** 同一顧客内の別口座間で株式を移管したい場合に、税務上の処理などのために形式的に売買を成立させる目的で利用されることがあります。 - **株主優待・配当権利取り（つなぎ売り）:** 現物株保有と信用売りを組み合わせる際に、立会外取引が利用されることがあります。 ### 特徴 - **立会外取引:** 通常、取引所の通常の売買（立会市場）外で行われます。 - **価格インパクト抑制:** 市場価格への直接的な影響を抑えられます。 - **取引の秘匿性:** 立会市場の板情報には影響を与えません。 ### 注意点 - 取引所の規則に基づいて行われる必要があります。 - 意図的な価格操作（仮装売買など）は禁止されています。 クロス取引は、特定のニーズに基づき、立会外で効率的に取引を執行するための一手法です。