Gamma (Γ)

### 概要 ガンマとは、原資産の価格が1単位動いたときに、デルタがどれだけ変化するかを示す指標です。デルタがオプション価格の「一次感応度」なら、ガンマは「二次感応度」です。価格が動くにつれて、デルタも一定ではなく変化していきます。その変化の度合いがガンマです。 ガンマが高いということは、小さな価格の変化でもデルタが大きく変わることを意味します。つまり、ポジションが「敏感になっている状態」といえます。特に満期が近いオプションや、原資産の価格が権利行使価格（ストライク）に近いときにガンマは大きくなります。 | 記号 | 名称 | 簡単な意味 | |------|------------|----------------------------------| | Δ | デルタ | 原資産価格に対する価格感応度（一次感応度） | | Γ | ガンマ | デルタの変化率（二次感応度） | | Θ | セータ | 時間の経過による価値の減少（時間価値） | | V | ベガ | ボラティリティの変化への感応度 | | ρ | ロー | 金利変動による価格感応度 | ### コモディティの事例 たとえば、ある商社がニッケル価格のコールオプション（行使価格2万ドル）を保有していたとします。このとき、ニッケルの現物価格がちょうど2万ドルに近づいており、満期まであと1週間という状態です。 この状況では、ガンマが非常に大きくなっているため、ニッケル価格が1％上がっただけでもデルタが急上昇し、ポジションのリスクが一気に変わります。昨日は「中立的」だったポジションが、今日は「非常に強気」になってしまう。こうなると、デルタヘッジの再調整が頻繁に必要になり、トレーダーは神経を使います。 ガンマが高いポジションを放置すると、想定外の相場変動で思わぬ損益が出ることがあるため、日々の調整が欠かせません。 ### 実務での使い方と注意点 - ヘッジの安定性を保つには、ガンマが高すぎる状態を避けるか、相殺するポジションを持つ必要があります（ガンマヘッジ） - 満期が近づくと、同じポジションでもガンマが急激に変わるため、リスク管理が難しくなります - ガンマが大きいと、利益チャンスも増える一方で、予想と違った方向に動いたときの損失も増えます