Netting

### 概要 ネッティング（Netting）とは、特定の二当事者間（または多者間清算の場合は清算機関経由）に存在する複数の金銭債権および債務について、それらを互いに相殺（Net out）し、最終的に算出された**差額（Net amount）のみを一方から他方へ支払う**ことで決済を完了させる方式、またはそのプロセスを指します。「差額決済」や「相殺決済」とも呼ばれます。 ### 種類 - **支払ネッティング (Payment Netting):** 同一期日の複数の支払いを相殺し、差額のみを支払います。決済金額・回数を削減します。 - **クローズアウト・ネッティング (Close-out Netting):** 一方がデフォルトした場合に、全未決済取引を早期解約・評価し、評価額を相殺して単一の清算金額を確定させる仕組み。信用リスクを削減します。ISDAマスター契約などで規定されます。 ### 目的と効果 - **決済リスクの削減:** 受け渡しされる資金額や証券量を削減し、決済失敗リスクを軽減します。 - **信用リスク（カウンターパーティリスク）の削減:** 特にクローズアウト・ネッティングにより、相手方破綻時の損失額を限定できます。 - **事務コスト・決済コストの削減:** 決済回数や金額が減ることで、関連コストを削減できます。 ネッティングは、特にデリバティブ取引や外国為替取引など、多数のキャッシュフロー交換が発生する市場において、リスク管理と決済効率化のための基本的な仕組みとなっています。