Hafnium

### 概要 ハフニウム（Hafnium）は、原子番号72、元素記号Hfで表される遷移金属元素です。銀灰色の金属で、化学的性質が同族のジルコニウム（Zr）と極めてよく似ており、天然では常にジルコニウム鉱石（ジルコンなど）中に少量（通常1～5%程度）含まれています。両者の分離は困難です。レアメタルの一つに分類されます。 ### 特徴 - **高融点:** 融点が約2233℃と高い（高融点金属）。 - **耐食性:** 表面に安定な酸化皮膜を形成し、良好な耐食性を示します。 - **中性子吸収能:** 熱中性子を吸収する能力が非常に高い（ジルコニウムは逆に吸収しにくい）。この性質の違いが、両者の主要な用途を分けています。 ### 主な用途 - **原子炉制御棒:** 熱中性子吸収能力の高さを利用し、原子炉（特に原子力潜水艦などの小型炉）の核分裂反応を制御するための制御棒材料として利用されます。これがハフニウムの最も重要な用途です。 - **合金添加剤:** ニッケル、鉄、チタンなどとの合金に添加され、強度や耐熱性を向上させる目的で、ガスタービン部品などの特殊な用途に用いられます。 - **プラズマ切断用電極:** 高融点であることから、プラズマ切断装置の電極として利用されます。 - **半導体材料:** 近年、酸化ハフニウム（HfO2）が、従来の二酸化ケイ素（SiO2）に代わる高誘電率（High-k）ゲート絶縁膜材料として、高性能な半導体（CPUなど）に利用されています。 ### 資源と市場 ジルコニウム生産の副産物として得られます。ジルコニウムの主要生産国（オーストラリア、南アフリカなど）がハフニウムの供給源となります。原子炉用途や半導体用途の需要動向が市場に影響を与えます。 ハフニウムは、ジルコニウムとの分離が技術的な鍵となる、特殊な用途を持つ金属です。