Indium

### 概要 インジウム（Indium）は、原子番号49、元素記号Inで表される金属元素です。非常に柔らかく（ナイフで切れるほど）、展性・延性に富み、融点が低い（約157℃）銀白色の金属です。レアメタルの一つに分類されます。亜鉛鉱石などに微量に含まれ、亜鉛製錬の副産物として主に生産されます。 ### 主な用途 インジウムの最大の用途は、**ITO（Indium Tin Oxide、酸化インジウムスズ）**の原料としての利用です。 - **ITO透明導電膜:** ITOは、透明でありながら電気を通すというユニークな性質を持つ薄膜材料です。この性質を利用して、液晶ディスプレイ（LCD）、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル、太陽電池などの電極として、現代のエレクトロニクス製品に不可欠な材料となっています。 その他の用途としては、以下があります。 - **低融点合金・はんだ:** ビスマスや錫などと合金にすることで、さらに融点の低い合金（例: 電子部品実装用のはんだ）が作られます。 - **半導体材料:** インジウムリン（InP）、インジウムガリウムヒ素（InGaAs）などの化合物半導体が、光通信用レーザーダイオードや受光素子、高周波デバイスなどに利用されます。 - **その他:** 原子炉制御材、アルカリ乾電池の添加剤、ガラスへの添加（黄色着色）など。 ### 市場とリサイクル ITOとしての需要が大部分を占めるため、フラットパネルディスプレイ市場の動向がインジウムの需給と価格に大きな影響を与えます。資源の偏在性（中国が主要生産国）や価格変動リスクから、ITO代替材料の開発や、使用済みパネルからのインジウムリサイクル技術の開発が進められています。 インジウムは、現代のディスプレイ技術を支える上で欠かせないレアメタルです。