Tellurium

### 概要 テルル（Tellurium）は、原子番号52、元素記号Teで表される元素です。周期表では酸素、硫黄、セレンと同じ16族に属し、銀白色の光沢を持つもろい半金属（メタロイド）です。化学的性質はセレンによく似ています。地殻中の存在量が非常に少ない希少な元素（レアメタル）の一つです。 ### 主な用途 テルルの工業的な用途は比較的限定されていますが、以下のような分野で利用されています。 - **合金添加剤:** 銅やステンレス鋼などに微量添加することで、被削性（切削加工のしやすさ）を向上させる快削成分として利用されます。 - **半導体材料:** - **CdTe（テルル化カドミウム）:** 薄膜太陽電池の材料として利用されています。 - **Bi2Te3（テルル化ビスマス）:** 熱電変換材料として、電子冷却素子（ペルチェ素子）や、廃熱発電などの熱電発電素子に利用されます。 - **ゴム添加剤:** ゴムの加硫（弾性を与えるプロセス）を促進したり、ゴムの硬度や耐熱性を向上させたりするために添加されることがあります。 - **その他:** ガラスやセラミックスの着色剤、触媒、光ディスク記録層（書き換え可能なDVDなど、現在は減少）、爆薬の起爆剤など。 ### 資源と市場 独立した鉱石は稀で、主に銅製錬の副産物（陽極スライム）から、セレンと共に回収されます。価格は太陽電池や熱電素子の需要動向、銅生産の状況などに影響されます。産出量が少ないため、価格変動が大きい場合があります。 テルルは、その希少性と半導体・熱電特性から、特定の先端材料分野で利用されるレアメタルです。