Titanium

### 概要 チタン（Titanium）は、原子番号22、元素記号Tiで表される遷移金属元素です。銀灰色の金属で、以下のような優れた特性を併せ持っています。 - **軽量:** 密度が約4.5 g/cm³と、鉄の約60%、銅の約半分と軽い。 - **高強度:** 特に比強度（密度あたりの強度）が非常に高く、実用金属の中でもトップクラスです。 - **優れた耐食性:** 空気中で表面に強固な不動態皮膜（酸化チタン TiO2）を形成するため、海水、多くの酸やアルカリに対して、白金やタンタルに匹敵する極めて優れた耐食性を示します。 - **生体適合性:** 人体に対してアレルギー反応などを起こしにくく、骨と結合する性質もあります。 - **その他:** 耐熱性、非磁性などの特徴も持ちます。 一方で、精錬や加工が難しく、比較的高価な金属でもあります。 ### 主な用途 - **航空宇宙分野:** 軽量・高強度・耐熱性を活かし、航空機の機体構造材、エンジン部品、ロケット部品などに広く利用されています。これが最大の用途の一つです。 - **化学プラント:** 優れた耐食性から、海水淡水化装置、熱交換器、反応槽、配管など、厳しい腐食環境下で使用される化学プラント設備に利用されます。 - **医療分野:** 生体適合性と強度、耐食性から、人工関節（股関節、膝関節など）、デンタルインプラント、骨固定用プレート、ペースメーカーケースなどの医療用インプラント材料として広く利用されています。 - **建築・土木:** 耐食性と意匠性から、沿岸部の建物の屋根や外壁、橋梁、モニュメントなどに利用されます。 - **スポーツ・レジャー用品:** 軽量・高強度を活かし、ゴルフのクラブヘッド、テニスラケット、自転車フレーム、登山用品、腕時計などに利用されます。 - **その他:** 熱交換器（発電所、船舶）、自動車部品（エンジンバルブ、マフラーなど）、顔料（酸化チタン）、触媒など。 ### 資源と市場 主な鉱石はイルメナイト（チタン鉄鉱）やルチル（金紅石）です。オーストラリア、南アフリカ、カナダ、中国などが主要産地です。金属チタン（スポンジチタン）の製造には多くのエネルギーが必要となります。価格は航空機需要や化学プラント需要などに影響されます。 チタンは、その優れた特性から、多くの先端分野で利用される重要な金属材料です。