Zero-Coupon Bond

### 概要 ゼロクーポン債とは、利息（クーポン）を定期的に支払わない代わりに、発行時に額面よりも安い価格で販売される債券です。満期時に額面で償還され、その差額が投資家の収益になります。利息収入がないため、利回りは購入価格と満期までの期間に基づいて間接的に算出されます。 通常の債券とは異なり、定期的なキャッシュフローが発生しないため、金利の変化に対して価格の変動幅が大きくなります。また、デュレーションが満期年数と一致するという特徴を持ちます。 --- ### リスクと評価 ゼロクーポン債は将来1回限りの償還金を受け取る構造であるため、割引現在価値（Discounted Cash Flow）の基本的な仕組みに最も忠実な商品です。 金利が上昇すると、将来の償還金の現在価値は大きく下がります。したがって、ゼロクーポン債はロー（ρ）に対して高い感応度を持ち、金利リスクが大きい資産といえます。金融商品のリスク構造や価格変動の基準モデルとしても用いられます。 --- ### コモディティ実務との関連 商社が将来の収益や支出（たとえば数年後のプロジェクト収益、長期供給契約の代金受取など）を現在価値で評価する場面では、ゼロクーポン債と同様の考え方が使われます。 たとえば、3年後に受け取る100万ドルの売上を評価する際に、現在の金利をもとに割り引くという行為は、3年満期のゼロクーポン債の価格を計算することと同じ意味を持ちます。 また、金利感応度の基準資産として、リスク分析やヘッジ対象の比較にも活用されます。 --- ### 注意点 - 再投資リスクはないが、金利変動による価格の振れが大きい - 長期になるほど金利の影響が強まり、価格が大きく上下しやすい - 償還まで現金を受け取れないため、流動性リスクにも注意が必要 - 発行体の信用リスクは満期時点に集中して現れる