Covenants

コベナンツ

会計・財務

借入契約などで企業に対し、財務指標や行動に制約を設ける条項。違反時は契約解除や返済義務が生じる。

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### 概要 Covenantsとは、主に**融資契約や社債契約の中で取り決められる、借り手が守るべき条件や制限事項のこと**です。日本語では「財務制限条項」「契約条件」「協定条項」などと訳されます。 金融機関が企業にお金を貸すとき、将来のリスクを抑えるために「これだけは守ってくださいね」というルールを契約に組み込みます。それがコベナンツです。 ### なぜ必要か 貸す側(銀行や投資家)は、企業が将来返済できなくなるリスクを常に抱えています。そのため、資金を貸すにあたって - 経営が急激に悪化しないように制限をかけたい - 財務状況を定期的に把握したい - 借り手が勝手にリスクを取りすぎないようにしたい といった意図から、事前に条件を決めておくのです。 ### よくあるコベナンツの例 1. 財務指標に関する制限 - 自己資本比率を〇パーセント以上に保つこと - 借入金の倍率(Debt to EBITDAなど)を一定以下に抑えること 2. 情報開示義務 - 毎年の決算書や四半期報告を期限内に提出すること - 大きな投資やM&Aをする前に事前承認を得ること 3. 行動の制限 - 新たな借金をしない - 特定の資産を売却しない - 配当の上限を設ける これらは「守るべき義務」であり、違反すると「契約違反(デフォルト)」として、返済の前倒しやペナルティが発生する可能性があります。 ### ハードコベナンツとソフトコベナンツ - ハードコベナンツ:違反すると即座に契約違反とされる厳しい条件 - ソフトコベナンツ:違反しても、まず協議や猶予が設けられる緩やかな条件 資金の出し手や契約の目的によって、条件の厳しさは大きく異なります。 ### 商社や企業にとっての意味 - 成長のために借りた資金でも、制限が多いと自由な経営がしづらくなる - 一方で、誠実に守ることで信用が高まり、今後の調達条件が良くなる - コベナンツの履行状況は、格付けや株主との対話においても重要な情報になります ### 注意点 - 契約書の文言が曖昧だと、解釈をめぐってトラブルになることがある - コベナンツ違反が表面化すると、市場や取引先から不安視されやすい - 一時的に基準を下回るだけでも、再交渉や開示義務が発生する場合がある ### 関連用語 - 財務制限条項 - デフォルト(契約違反) - 負債契約(Loan Agreement) - レバレッジ比率 - コンプライアンス・チェック
関連用語
Accounts Receivable

売掛金

企業が商品やサービスを掛売り(後払い)で販売した際に、将来顧客から代金を受け取る権利(債権)のことです。貸借対照表の流動資産に計上されます。

Amortisation

償却

償却とは、固定資産の価値が時の経過や使用によって減少していく分を費用として計上する会計処理のことです。無形固定資産の場合は「償却」、有形固定資産の場合は「減価償却」と呼び分けることがあります。

Appreciation

価値上昇

保有している資産(株式、不動産、通貨など)の市場価値が、時間の経過や市場環境の変化によって購入時よりも増加することです。減価(Depreciation)の対義語となります。

Asset

アセット

経済的な価値を持ち、将来的に収益や便益を生み出すと期待される、企業や個人が所有または支配している資源のことです。現金、預金、有価証券、不動産、機械設備などが含まれます。

Balance sheet

貸借対照表

特定時点における企業の財政状態(保有する資産、負債、純資産の状況)を一覧表示した財務諸表の一つです。「B/S」とも略されます。損益計算書、キャッシュフロー計算書と並ぶ主要な財務諸表です。

Benchmarking

ベンチマーキング

自社の経営指標、業務プロセス、製品、サービスなどを、業界のベストプラクティスを持つ競合他社や優良企業と比較・測定・分析し、改善点や目標設定に役立てる経営手法です。

Bill Settlement

手形決済

商品代金などの支払いを、将来の特定の期日に支払うことを約束する証書(約束手形)や、第三者への支払いを委託する証書(為替手形)を用いて行う決済方法のことです。

Book value

簿価(帳簿価額)

企業の貸借対照表(バランスシート)に記載されている資産や負債の帳簿上の価額のことです。特に、純資産の部の合計額(株主資本)を指して「一株あたり簿価(BPS)」として使われることもあります。

Break-even Point

損益分岐点

事業や製品の売上高が、それにかかる総費用(固定費と変動費の合計)とちょうど等しくなり、利益も損失も発生しない(損益がゼロとなる)売上高または販売数量のことです。

Carry Back

キャリーバック(繰戻し還付)

会計・税務において、当期に発生した欠損金(赤字)を、前期以前の黒字(所得)と相殺することで、前期以前に納付した税金の還付を受けることができる制度のことです。「繰戻し還付」とも呼ばれます。

Carry Forward

キャリーフォワード(繰越控除)

会計・税務において、当期に発生した欠損金(赤字)や税額控除などを、翌期以降に繰り越して、将来の利益(所得)や税額から控除することができる制度のことです。「繰越控除」とも呼ばれます。

Cash Flow

キャッシュフロー

特定の期間内における、現金の実際の収入(流入)と支出(流出)の流れのことです。企業の財務健全性や支払い能力を評価する上で、損益計算書の利益とは異なる視点を提供します。

Contingency Fund

予備費

予算やプロジェクト計画などにおいて、予期せぬ出来事(コスト超過、事故、災害など)が発生した場合に備えて、あらかじめ確保しておく資金枠や予算項目のことです。

Covenant Breach

コベナンツブリーチ

融資契約などに含まれる財務制限条項(コベナンツ)に定められた条件(例: 一定の財務比率を維持する)を、借入人である企業などが満たせなくなることです。契約違反となり、融資条件の変更や期限の利益喪失などに繋がる可能性があります。

Credit Facility

融資枠(クレジットファシリティ)

銀行などの金融機関が、企業に対して設定する融資の限度額または融資制度全体のことです。コミットメントラインのように法的な融資約束を伴うものと、そうでないものがあります。

Daily Trade Sheet

日計表(にっけいひょう)

トレーディング業務や営業活動などで、その日一日の取引件数、取引量、売上、損益などを記録し、集計するための帳票やデータシートのことです。日々の業績把握や締め処理に用いられます。

Debt

負債(デット)

会計上、過去の取引や事象の結果として、企業が将来的に他の主体に対して経済的資源(通常は現金)を引き渡す義務のことです。貸借対照表の構成要素で、借入金や買掛金などが含まれます。

Depreciation

減価償却

減価償却とは、建物や機械、車両などの**有形資産にかかった購入費用を、使う年数に応じて少しずつ費用として計上していく会計処理**のことです。

Depreciation

減価償却

企業が保有する建物、機械設備などの有形固定資産の取得原価を、その資産が使用可能な期間(耐用年数)にわたって、費用として計画的に配分する会計上の手続きです。

EBITDA

EBITDA

企業の収益力を測る指標の一つで、税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて計算されます。国による税率や減価償却方法の違いを除いた、事業本来のキャッシュフロー創出力に近い指標とされます。

Equity Method Affiliate

持分法適用会社

連結財務諸表において、投資会社が議決権の20%以上50%以下を所有するなど、重要な影響力を持つ非連結子会社や関連会社のことです。これらの会社の純資産や損益の変動を持分に応じて投資勘定に反映させる「持分法」が適用されます。

Fixed Costs

固定費

企業の生産量や売上高の増減に関わらず、一定期間において(比較的)一定額が発生する費用のことです。変動費と対比され、損益分岐点分析などで用いられます。

Foreign Exchange Gain or Loss

為替差損益

外貨建ての取引や資産・負債について、為替レートの変動により、自国通貨(円など)に換算した際の評価額が増減することで発生する損益のことです。損益計算書に計上されます。

Interest-Bearing Debt

有利子負債

企業が負っている負債のうち、銀行からの借入金、社債、転換社債など、利息の支払い義務を伴う負債の合計額のことです。財務分析において、企業の財務リスクを評価する指標として用いられます。

KPI (Key Performance Indicator)

重要業績評価指標

企業や組織が、目標達成に向けての進捗状況やパフォーマンスを定量的かつ具体的に測定・評価するために設定する指標です。売上高、利益率、顧客満足度、成約率などが例として挙げられます。

Liability

負債(ライアビリティ)

会計上、過去の取引や事象の結果として、企業が将来的に他の主体に対して経済的資源(通常は現金)を引き渡す義務のことです。貸借対照表の構成要素で、借入金や買掛金などが含まれます。

Mark-To-Market

時価評価

保有している金融商品(株式、債券、デリバティブなど)やトレーディングポジションの価値を、帳簿価額ではなく、決算期末などの評価時点での市場価格(時価)に基づいて評価し直す会計処理です。

MTM (Mark to Market)

時価評価(MTM)

保有している金融商品やトレーディングポジションの価値を、帳簿価額ではなく、評価時点での市場価格(時価)に基づいて評価し直す会計処理のことです。「値洗い」とも呼ばれます。

Net Income

純利益(当期純利益)

企業が一定期間(通常は1会計年度または四半期)の経営活動の結果として、全ての収益から全ての費用および税金を差し引いた後に残る、最終的な利益のことです。損益計算書の最終利益です。

Notional Loss

未実現損失(評価損)

保有している資産(株式、債券、不動産、デリバティブなど)の現在の市場価値(時価)が、取得時の価格(簿価)を下回っている場合に、帳簿上で認識される評価上の損失のことです。実際に売却・決済して損失が確定したわけではありません。

On-balance Transaction

オンバランス取引

企業の貸借対照表(バランスシート)に、資産または負債として計上される取引のことです。オフバランス取引と対比され、企業の財務状況に直接的な影響を与える取引を指します。

Plan vs. Actual Management

予実管理

企業や部門が設定した予算(計画値)と、実際の活動結果(実績値)とを比較・分析し、その差異(予実差)の原因を把握することで、計画の達成度を評価し、業績改善や将来計画の見直しに繋げる管理活動のことです。

P/L (Profit and Loss)

損益計算書(P/L)

企業が一定期間(通常は1会計年度または四半期)にどれだけの収益を上げ、そのためにどれだけの費用を使い、結果としてどれだけの利益(または損失)が出たかを示す財務諸表の一つです。

P/L Simulation

損益シミュレーション

売上、コスト、価格、金利などの前提条件(パラメータ)を様々に変更した場合に、将来の損益計算書(P/L)がどのように変化するかを試算し、事業計画の策定やリスク評価に役立てることです。

Reserves

準備金(リザーブ)

会計上、将来の特定の目的(配当、損失補填、退職金支払など)に備えたり、あるいは資本取引などから生じたりして、企業の純資産の部に積み立てられる金額のことです。

Retention

利益留保(リテンション)

企業が得た利益(当期純利益)のうち、配当などで株主に分配せずに、企業内部に蓄積すること、またはその蓄積された金額(内部留保、利益剰余金)のことです。将来の投資や財務基盤強化に充てられます。

Tangible Assets

有形資産

物理的な形状を持つ資産

参考文献

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